睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に一時的に呼吸が停止する状態が繰り返される疾患であり、日中の眠気や集中力の低下、高血圧、心疾患などのリスクを高めます。当院では、SASの診断と治療としてCPAP療法を提供しています。
CPAPとは何か
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)は、日本語で「経鼻的持続陽圧呼吸療法」と呼ばれ、睡眠中に専用のマスクを装着し、加圧した空気を鼻から送り込むことで気道の閉塞を防ぎ、正常な呼吸を維持する治療法です。これにより、無呼吸や低呼吸の発生を抑え、睡眠の質を向上させます。
専用マスクの種類
CPAP療法で使用されるマスクには以下の種類があります:
ネーザルタイプ:鼻のみを覆うタイプで、装着感が軽く、最も一般的に使用されています。
ピロータイプ:鼻孔に直接挿入するタイプで、顔に触れる部分が少なく、肌への圧迫感が少ないのが特徴です。
フルフェイスタイプ:鼻と口の両方を覆うタイプで、口呼吸をする方や鼻詰まりがある方に適しています。
患者様の顔の形状や呼吸習慣に合わせて、最適なマスクを選択することが重要です。
CPAPのメリット・デメリット
メリット
- 症状の改善:CPAPの使用により、いびきや無呼吸が減少し、睡眠の質が向上します。
- 日中の眠気の軽減:質の高い睡眠が得られることで、日中の眠気や集中力の低下が改善されます。
- 健康リスクの低減:高血圧や心疾患、脳卒中などのリスクが低減されることが期待されます。
デメリット
- 装着の不快感:マスクの装着に慣れるまで違和感を感じる場合があります。
- 乾燥感:空気の流入により、鼻や喉の乾燥を感じることがあります。
- 腹部の張り:空気を飲み込んでしまうことで、お腹の張りを感じることがあります。
これらのデメリットは、マスクの種類や装着方法の調整、加湿器の使用などで改善できる場合があります。
CPAPはいつまで使うのか
CPAP療法は対症療法であり、根本的な治療ではありません。そのため、基本的には継続的な使用が推奨されます。ただし、体重減少や生活習慣の改善により症状が軽減した場合、医師と相談の上、使用の中止を検討することも可能です。
CPAP以外の治療法
マウスピース療法
就寝時にマウスピースを装着し、下顎を前方に固定することで気道を広げ、無呼吸を防ぐ治療法です。軽度から中等度のSASに有効とされています。
手術
扁桃腺やアデノイドの肥大、鼻中隔の湾曲など、解剖学的な要因で気道が狭くなっている場合、手術による改善が検討されます。手術の適応は個々の症例によりますので、専門医との相談が必要です。
おわりに
睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療により症状の改善が期待できる疾患です。当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法を提案し、生活の質の向上をサポートいたします。お悩みの方はお気軽にご相談ください。