舌下免疫療法
スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法のひとつに、アレルゲン免疫療法があります。
アレルゲン免疫療法は、100年以上も前から行われている治療法です。近年では治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになりました。舌下免疫療法は、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんが治療を受けることができます。
期待できる効果
長期にわたり、正しく治療が行われると、アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。舌下免疫療法の効果は、約80%程度の患者さんで認められます。症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量が期待できます。3~5年の治療で効果が現れた場合は、治療終了後も効果の持続が期待できます。
服用方法
1日1回、少量の治療薬から服用をはじめ、その後決められた一定量を数年間にわたり継続して服用します。初めての服用は、医療機関で医師の監督のもと行い、2日目からは自宅で服用します。治療薬を舌の下に置き、定められた時間保持した後飲み込みます。その後5分間はうがい、飲食を控えます。
※シダキュア(スギ花粉症)の治療開始時期はスギ花粉が飛んでいない時期(5月連休明け~11月下旬)となります。
主な副作用
口の中の浮腫、腫れ、かゆみ、不快感、異常感、唇の腫れ、喉(のど)の違和感、耳のかゆみなど
これらの症状は服薬後から1か月以内に起こることが多いですが、程度も軽度で、次第に改善することがほとんどです。抗アレルギー薬を併用して内服するなどで症状を抑えることができます。
重大な副作用
- ショック、アナフィラキシー
治療を受けられない方
- 重度の喘息にかかっている方
- 妊娠、授乳中の方
- 悪性腫瘍の治療中の方
- 自己免疫疾患などで長期のステロイド治療中の方
治療の流れ
- 初回診察
まず、診察を行います。お薬手帳、過去のアレルギー検査結果をお持ちの方は、持参してください。1年以内にアレルギーの血液検査を受けたことのない方には血液検査を行います。 - 初回投与日
血液検査をされた場合は、約1週間後に再来院していただきます。(※診察終了時間の1時間前までにご来院ください)1年以内の検査結果をご持参の場合は、当日から治療開始も可能です。
医師が結果と体調を確認し、院内で1回目の服用を行います。
服用後30分は院内に待機していただき、問題なければこの日は終了となります。 - 再来院日
初回投与から約2週間後に再度ご来院いただきます。
治療継続可能な場合、それ以降は1ヵ月に1回の通院となります。
よくある質問
Q.01 舌下免疫療法は、何歳から可能ですか?
安全性の高さから2018年よりスギ花粉・ダニアレルギーともに5歳以上から治療が受けられるようになりました。
Q.02 舌下免疫療法は、スギ花粉、ダニ・ハウスダスト以外のアレルギーには有効ですか?
当院では現在、シダキュア(スギ花粉用の錠剤)、ミティキュア(ダニ・ハウスダストアレルギー用の錠剤)を処方可能です。これらの薬剤は、その他のアレルギー(イネ、ブタクサ、カビ、動物アレルギーなど)に対する効果は期待できません。ヒノキ花粉症については、多くのデータはないものの、一般的には「あまり効果が期待できない」と考えられています。
Q.03 「ダニアレルギー」と「ハウスダストアレルギー」は異なるものになるのですか?
ハウスダストは、ダニの死骸やフン、カビ、細菌、花粉、繊維、人間やペットのフケなどから構成されており、そのハウスダストの大部分はダニで占められています。よって「ダニアレルギー」と「ハウスダストアレルギー」はほぼ同義語と考えられます。
Q.04 スギ花粉とダニの舌下免疫療法は、一緒に行うことができますか?
可能です。両者の開始時期は1ヵ月以上空けるようにしています。